1986年10月4日。
右代宮戦人は六軒島へと向かっていた。
年齢は、少年期も終わろうかという18歳。
身体こそ逞しいが、精神の成熟にはまだ遠い......そんな年頃だ。
彼が最後に六軒島を訪れたのは、6年前。
疎遠になっていた親戚知人との再会に、戦人は胸を踊らせていた。
一方、彼の父を始めとした大人たちは、心中、穏やかならぬものを抱えていた。
彼らの心を占めるのは、余命幾許もない当主・金蔵の遺産について。
当事者である大人たちにとっては一大事でも、
戦人のような子供にとっては醜い争い、他人にとっては好奇の的。
いつの時代、どの場所にだって存在した財産争いだ。
そんな中、ひとつの手紙によって事態は一変する。
差出人の名は、ベアトリーチェ。
かつて金蔵と契約し、莫大な黄金を授けた魔女。
六軒島の真の支配者にして、恐るべき魔法を自在に操る存在。
無論、戦人たちは魔女の存在など信じない。
だが魔女の存在をまるで証明するかのように、
凄惨な儀式がはじまる。
戦人の眼前に次々と無残な屍を晒してゆく。
いずれもが、論理的な説明を拒む大量殺人事件。
はたして戦人が下した結論とは―――
1986年。 密やかに恋を育む男女がいた。
譲治と紗音。
名家・右代宮の血を継ぐ男と、
そこに仕えるしがない使用人の女。
許されざる恋、成就の困難な恋。
それでもふたりは、愛を信じてひた走る。
それもすべては魔女ベアトリーチェがかけた魔法のおかげ。
人並みの幸せを知らぬ"家具"に愛の存在を語り、
芽生えた想いを魔法の力で成就へと導く……。
何もかも、残酷な魔女を喜ばせるための謀り事なのだ。
結んだふたりを引き裂く快感!
それを見て周囲の人間が苦しむ様もまた痛快!
……そして、10月4日。
魔女が果実を収穫する、残酷な宴の始まりだ。
まずは子から親を奪おう。
次は、惹かれ合う朱志香と嘉音を供物としよう。
仲睦まじく死体を揃えて飾り立てるか?
死後も人を汚し辱めることこそ、魔女の真骨頂……。
魔女の嘲笑が、嵐の六軒島を包み込む。
物言わぬ屍は、残された者たちを猜疑の泥濘へと飲み込んでゆく。
譲治と紗音の愛は、いかなる末路を辿るのか―――
絵羽という少女がいた。
名家・右代宮に生まれながら、
父からは認められず、兄からは虐げられる哀れな娘。
それでも絵羽は高みを目指した。
己が、当主の座を射止めるために。懸命だった。
その努力に見合う実績を得た。
だが、父は彼女を認めず・・・・・・・いつしか夢は現実に押し潰された。
時は流れ、運命の1986年10月4日。
魔女ベアトリーチェの宴が始まるこの日、絵羽の心に夢が蘇る。
少女時代、当主になろうとひたむきだった絵羽。
そのかつての絵羽が、いまの絵羽の心に蘇ったのだ。
それは、六軒島を包んだ魔女の力が起こした
恐るべき奇跡だったのだろうか。
少女の夢がすべて叶う時、 六軒島に、死の嵐が吹き荒れる・・・・・・・。
新たな魔女がもたらす死は、先代のそれよりも・・・・・・・
残酷、遥かに無残、度を超えて悪趣味。
子は親の、弟子は師の似姿という。
鏡に写った己を見て、ベアトリーチェは何を思うのか。
生き残るのは果たして―――
―――あれから少しだけ、時間が経った。
結局、生き残ったのは右代宮絵羽、
ただひとり。
謎の惨劇。おびただしい死体。
残された莫大な財産。
世間の猜疑と好奇の目は、
絵羽を孤独な鬼へと変えた。
鬼の感情の矛先は、ただひとりの血族へと向けられる。
右代宮縁寿。
両親の留弗夫と霧江、
そして腹違いの兄・戦人を一遍に失った娘。
唯一の親族からの虐待と、学校でのいじめは、
縁寿の心を凍てつかせた。
数少ない拠り所は、兄がくれた他愛のない髪ゴムと、
従姉の真里亞が遺した日記。
絵羽の死、そして再び巡る遺産相続。
それを狙う須磨寺の魔の手。
そして......謎の魔女ベルンカステルの出現。
かくして、縁寿は六軒島へと向かう。
嵐の孤島で永遠に惨劇を繰り返す兄たちを救うために。
4つのエピソードを経て、勝利を手にしたはずの右代宮戦人。
戦いに敗れ、内に閉じこもる魔女・ベアトリーチェ。
その理由を戦人はまだ知らない。
だが、ゲームは終わらない。
戦人が席を外している間も新たなる
ゲームマスターによってゲーム盤は弄ばれる。
そして、それは新しい局面を迎えていた。
「犯人はあなたです」
そう断言するのは見たこともない少女。
彼女は"探偵"。
一切のファンタジーを否定する者。
彼女は戦人に代わり、次々と魔女の謎に挑んでいく。
ついに六軒島での事件の謎を解明し、
ベアトリーチェの真意に気付いた戦人。
だが、そのベアトリーチェはもう、どこにも"い"ない。
自分が真実に至ったことを証明するために、
新たなゲームマスターとなった戦人。
彼の紡ぐ新しいゲーム盤が動きだそうとしていた。
絵羽の死、そして再び巡る遺産相続。挑戦者は古戸ヱリカ。
EP5とは違い"探偵"の権限を"持たぬ"
ただのニンゲンの彼女に
一体何ができるというのか。
一方、縁寿の物語にも、変化が起こる。
六軒島の真相に至ったと主張する者との対峙。
それから縁寿の求める真実へと近づくことができるのだろうか?
ifの世界が、ここにひとつある。
今までも数々の「if」を見てきたはずだが、
今度のはちょっと毛色が違うようだ。
1986年10月4日六軒島、礼拝堂。
まさに今、ベアトリーチェの葬儀が行われていた。
金蔵の傍らにたたずむ人物の名を
右代宮家次期当主・右代宮理御という。
奇跡の魔女ベルンカステルが探しだしたひとつのカケラ。
その中で見える真実を解き明かせと、ある男を召喚する。
男の名はウィラード・H・ライト。天界大法院の異端審問官。
ウィラードと理御の過去を辿る旅が始まる。
縁寿は礼拝堂で目を覚ます。
そこで戦人と再会し、六軒島の真相に至るゲームへ招かれる。
1986年10月4日六軒島。
本来なら欠席していた6歳の縁寿が出席していた。
それは、なんて楽しくて、なんて温かくて、
なんて幸せな世界。
遺産?黄金?惨劇?
そんなものとは無縁な夢物語。そう、
こんなものは求めてないの。
自分の目で見たものしか信じない。
縁寿は戦人に食い下がる。
最後に縁寿が選ぶのは真実か、それとも...?
「Letter of Bernkastel」
「魔女たちの七夕は甘くない」
「ゲームマスター戦人」
「朱志香の母の日プレゼント」
「朱志香と恋のおまじない」
「Memoirs of the ΛΔ」
「ある料理人の雑記」
「勤労感謝の日の贈り物」
「七姉妹のバレンタイン」
「ベアトリーチェのホワイトデー」
「新人司祭コーネリア」
「だれのおちゃかい?」
「バレンタインペーパー」
「さくたろう煉獄山へ」
「Arigato for 556」
「あるウィッチハンターの取材テープ」
「召喚師からの手紙」
「魔法についての重要事項」
「天使17歳 東シ-44a」
「Postscript」
「朱志香と殺人扇風機」
「戯書No,×××」
「我らの告白」
「Last note of the golden witch」