ふゆから、くるる。

STORY

PROLOGUE

「えっ? しほんちゃんが死んじゃうかもしれないってどういうこと?
 ええっ? しほんちゃんの頭部がなくなっちゃったの?」

しほんちゃんの首無しの胴体が瞑想室でみつかったらしいのだ。

「でっ、でも、四十八時間以内なら首の再接続って可能だよね。
 えっ?頭が見つからないの!?
 だっ、誰かが隠したの? わかんないって? そっ、そんな……」

殺人は珍しい話じゃない。
だって、学園に一人くらい殺人鬼はいるものだもん。

人を殺すのはいいけど、頭部を切断して隠す、というのは絶対にやっちゃいけないタブーだ。

そんなことされたら蘇ることができなくなってしまう。
蘇生を阻止される殺し方をされるほど、
しほんちゃんが誰かに恨まれていたなんて信じられないよ。

どうにかして二日以内に頭部を見つけないと、しほんちゃんが本当に死んじゃう!

そんな現実は絶対に受け入れない!
今はショックを受けたり、泣いたりしてる場合じゃない!

私にはできることがあるはずだ!

「そんなのやったことないけど……。わっ、私!」

私がしほんちゃんの頭部を必ず見つける!

「私、名探偵をやるよ!」

外部と隔離された全寮制の学園。

──そこで生活するのは不死の少女達。

彼女らは大人になると同じ時間をかけて赤ん坊になるまで幼くなり、
再び大人になるまで成長し再び幼くなる、というサイクルを繰り返している。

学園からの卒業条件はただ一つ。
外部で観察している何者かから天才だと判断されること。
その判断が下された瞬間、少女は卒業を認められて学園から姿を消すことになるのだ。

不死の少女達の平穏な学園生活は、とある殺人事件によって大きく狂い始める。

なぜ少女達は不死なの? どうして成長したり幼化したりするの?
学園に閉じ込められてどのくらいの時間が経過したの?
どうして首を切断されても生き返ることができるの?
天才になれなかった少女はどうなるの? 外の世界はどうなっているの?
少女しかいない理由は? 男はどこにいるの? 死ぬって何?
生きるって何? ってなに?

なんのために、、ってあるの?

──事件の鍵となるのは

とじ。棒。ミシン。絹。つむぎ。がす。ふとん。洋服。釣り。待。Tピン。革三角

針に導かれて、不死の少女達が死んでいく。